Dr町田_2017_臨床整形外科_抄録
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足と靴の医学 / 整形外科医師 : 町田英一
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2017年7月20日 第30回 日本臨床整形外科学学術大会_東京_抄録

 

外来で必要な陥入爪、巻き爪の治療と
合併する足の疾患について



町田英一

高田馬場病院整形外科 日本大学整形外科 兼任講師


 陥入爪、巻き爪の治療は近年、急速な進歩を遂げている。演者は1日に30から50人ほどの爪矯正治療を行なっている。演者の巻き爪治療は痛みの無い、gradual orthonixy (緩徐な爪矯正)を勧めている。麻酔は原則として不要であり、まったく触れない程の痛みがある例にのみ用いている。

1. 形状記憶合金ワイヤ (マチワイヤMD) : 爪に穴を開けて装着する最も強力な矯正器具である。
2. シリコーンゴム・ガター (マチガター) : 柔らかくて透明な断面がU字型の専用のシリコーンで爪に縫い付け、炎症を消退させる。
3. チタン・クリップ (マチクリップ) : 先端に挟む爪矯正具で爪の強さ、幅に応じて数多くのサイズが用意されている。軽度の巻き爪とマチワイヤMDによる矯正後の再発予防に用いる。
4. コットン・グルー : 爪の縁に綿を詰めて医療用接着剤(アロンアルファA三共)で固める。

 巻き爪、陥入爪の原因は爪に掛かる外力の変化であり、外反母趾、扁平足、中足骨短縮症、末節骨変形、爪下外骨種、ハンマー・トウが多く、運動不足にも合併する。そのため、立位2方向X線写真が必要で足全体のの形態を見て、足を触って胼胝の位置も確認する。特にIP外反母趾、末節骨背面の凹変形が多い。靴のアウトソールの減り方、インソールの体重負荷面も重要な情報源である。

 指に床反力が加わらないと巻き爪になるので、外反母趾などではドイツ式の厚いオーダー・インソールを作成している。さらに、室内ではインソール交換が簡単にできるスリッパ、( マチスリッパ )を用いている。

 爪矯正は時間が掛かる、必ず再発する、費用が掛かる欠点があるが患者の同意が得られれば良い治療法である。当院には多くの医師に見学いただき、著者は深く感謝している。

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dr-machida.com 2017年4月7日更新