dr-machida.com2002年8月16日更新

以下は第15回日本靴医学会 さいたま市にて発表した抄録である。
糖尿病性足症用の整形靴、中敷き、靴下の試用

高田馬場病院整形外科  町田英一
【目的】糖尿病性足症用の整形靴、中敷き、靴下、を試用したので報告する。

【方法】症例は5年以上の糖尿病歴を持つ24例、男18例、女性 6例、42歳から74歳、平均62歳である。振動覚低下は11例、知覚過敏が 2例、知覚鈍麻が11例である。既に潰瘍の形成が有ったのが2例、足趾の1部を切断していたのが 2例である。
 整形靴は中敷きの脱着できる紐靴を用い、中敷きはフットブリントを参考にグラインダーを用いて成形する。中敷きの主材料はコルクであり、表面に極めて軟らかい糖尿病用の合成材を貼り付ける。必要に応じてアッパーとアウトソールも成形する。
 靴下は下腿部の編み方を変えて、狭い面積でゴムで締め付ける事の無い製品を試作した。

【結果】整形靴は23例が使用した。 1例は筋力が無く靴が重いという理由で使用を休止している。潰瘍の有った 2例では縮小した。知覚過敏の例では歩行距離が伸びた。糖尿病用の靴下は全例が使用している。

【考察】糖尿病用の中敷きは軟らかい専用の材質が良い。糖尿病性足症用の整形靴、中敷き、靴下は欧米では数多く用いられているが、本邦では普及していない。糖尿病用整形靴の有用性を認めた。実際行うには、
1)糖尿病用の整形靴、中敷き、靴下などの材料
2)グラインダーなどの作業用の機械設備
3)トレーニングを受けた技術者
4)患者さんに説明して指示を出す医師
が必要である。

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