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足と靴の医学 / 整形外科医師 : 町田英一
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2020年3月7日更新

ハグルンド病に関する質問集

ハグルンド病と言われましたが、どんな病気ですか?
踵の骨が出て靴に当たり、赤くなって痛みが出ます。欧米ではpump-bump、Winter heel などとも呼ばれます。pump-bumpとは踵を包む部分が硬いパンプスにより踵が押されて刺激され骨が隆起するため呼ばれます。Winter heelも冬に踵の硬い靴を履いて痛みが生じるためです。

なお、 アキレス腱付着部炎、アキレス腱滑液包炎、アキレス腱周囲炎など似ていますが、別の病気です。

ハグルンド病はX線で判りますか?
 ハグルンド病の側面X線写真です。
 踵の骨の斜め後方に出っ張りますから、X線には写りにくく、実際にはX線写真よりも、もっと大きく尖っています。

ハグルンド病では、どんな靴を履けば良いのでしょうか?
 女性の場合にはサンダルの踵部のストラップが踵の痛い部分に当たらないようなサンダルを選びます。痛みの強い方は既に実行されていると思います。

問題はハイヒールやビジネス・シューズが必要な時です。靴の踵の部品はシュー・カウンター、ヒール・カップ、月形芯と呼ばれ、踵を押さえるために重要です。そこでカウンターはプラスチックなどで補強されていて、ハグルンド病の人にとっては痛い部分が強く擦られる事になります。

 そこで、靴の踵の芯を取り外して、穴をくり抜いて当たりを防ぎます。靴によっては、アルカ社や全国の同社の取り扱い靴店などで調整してくれます。費用は靴の代金に加えて、1カ所3,000円位からです。
 
ハグルンド病の手術は?
手術は時間、費用が掛かりますから、一般的にはお勧めしません。 指で触ってみて、骨の隆起が尖っていて、靴の調整等を行っても、どうしても痛みが強い場合のみ手術をお勧めします。

手術が必要になるのは、例えば男性の営業職で革靴で長時間歩く必要がある方などです。

 左の写真は上の例の手術後1ヵ月後の傷の具合です。

 私が行う場合には足関節ブロック麻酔で行います。足関節ブロックは足首に局所麻酔を行います。骨の尖っている部分をサージタル・ソーと言う手術用の器械で削ります。

入院は3日間から2週間くらいで、腫れの程度により数日間は足を下げる事ができませんから、入院で行います。入院期間は世話をしてくださる御家族によります。 御家族が在宅の場合には早く退院できますし、例えば一人暮らしで自宅に階段がある場合には安全のため、2週間入院される事をお勧めします。


ハグルンド氏とは?
 パトリック ハグルンド Patrik Haglund (1870年5月27日 生 --- 1937年12月8日 没)
スウェーデンの外科、整形外科医でストックホルムのカロリンスカ研究所の教授です。北欧(スカンジナビア)で初めての整形外科の教授です。
Patric Haglund (ドイツ語のWikipediA)

ハグルンド病の主要論文  
  1. Haglund, Patrik: Über Fractur des Epiphysenkerns des Calcaneus, nebst allgemeinen Bemerkungen über einige ähnliche juvenile Knochenkernverletzungen, Archiv für Klinische Chirurgie, 1907

  2. Haglund, Patrik: Beitrag zur Klinik der Achillessehne, Zeitschrift für orthopädische Chirurgie, einschließlich der Heilgymnastik und Massage, 1927-28
    オリジナル見てません。孫引きです。


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