【目的】陥入爪に対して鬼塚法などの爪郭爪母切除術やフェノール法などの爪幅を狭くする手術が広く行われている。こうした手術後の爪変形と、それらに対する対処法について検討する。
【方法】症例は18例、男性4例、女性14例、年齢は8歳から82歳、受けた手術は爪郭爪母切除術爪郭爪母切除術6例、Phenol法3例、部分抜爪5例、完全抜爪2例、爪弯曲形成2例である。 術後遺残変形は小爪の発生4例、爪の弯曲遺残5例、側方への外内反2例、有痛性の狭小爪2例、Three wall陥入爪2例、肥厚爪3例である。
【成績】小爪、弯曲爪は超弾性ワイヤーによる爪矯正で小爪と爪縁を軟部組織の外に誘導することで日常生活の問題は無くなった。爪の外内反変形と有痛性の狭小爪は靴緋もある整形靴と厚い足底挿板の調整で足底への圧力分散を図り、痛みを軽減している。肥厚爪は3から6カ月ごとに電動ヤスリで削っている。Three wall 陥入爪はコットンパッキングと爪矯正により軽減できた。
【結論】陥入爪手術の再発率は低く、良い方法であると思われている。それでも「爪変形を生じるので整容的に問題があるが...」と述べられているが、爪には軟部組織に掛かる圧力を分散する機能が重要であり、爪の幅を狭くするだけの手術では高度な爪変形が生じる可能性がある。特に小児、若年者に根治手術として永久に爪変形を生じる術式は避けた 陥入爪術後の爪変形に対しても超弾性ワイヤーなどの爪矯正治療により、症状を緩和する事ができた。
陥入爪手術は整容のみならず機能的にも問題がある。特に若年者は爪矯正治療に良く反応し、変形を残さないので第一選択治療法として推奨する。