2008年7月2日 更新

第22回 (2008年10月3日-4日)

  日本靴医学会学術集会  


抄録 特別講演 << こどもの足の変形 >>

神奈川県立こども医療センター整形外科部長
町田 治郎

<< 先天性内反足 >>
 こどもの足の変形に対する当センターの手術方法を中心にお話します。先天性内反足は生後2-3週ごろよりギプス矯正を行いますが、週1回で10回ギプスを巻いた後に臨床およびX線評価を行い、矯正が得られているものは装具療法に移行します。

 保存的に矯正不能なものは生後6ヵ月以降で後内側解離術を施行します。後内側解離術は距踵関節を解離しない亀下法1)により行っており、これにより柔らかい機能的な足を再建できます。装具療法に移行したものでも歩行後に変形が再発した場合には後内側解離術を行います。装具または手術にて治療し、15歳以上に達した患者さん50人の調査では学校の体育は全員可能で、学校の運動部に属していた人が半分以上でした。

<< 二分脊椎 >>
 二分脊椎による足部変形では装具や靴の装着が困難な時や、足底に胼胝や潰瘍を形成する場合に手術を行います。なるべく1回の手術で済むように4歳以降で、距踵関節固定と変形に応じた腱移行術腱固定術を行う足の組み合わせ手術2)を行っています.二分脊椎で足の手術を行い、15歳以上に達した患者さん35人の調査では、装具や靴の装着が困難な程の変形が残存するものや褥瘡が常に存在するような成績不良例はみられませんでした。

<< 脳性麻痺 >>
 脳性麻痺の足部変形に対しては、できるだけ装具やリハビリで対処しますが、尖足がある場合は下腿三頭筋のフラクショナル延長を行います.重度の内反尖足変形により、装具の装着が困難な場合には後内側解離術踵立方関節固定術(エバンス手術)で対処します.以上のように、先天性、弛緩性麻痺、痙性麻痺など病態に合わせた手術を行い、患児のQOLが少しでも上がる治療を目指しています。

参考文献:
1)町田治郎:先天性内反足の手術的治療.最新整形外科学大系18.下腿・足関節・足部,中山書店,113-122,2007
2)町田治郎:二分脊椎による足部変形に対する治療.山本晴康編,足の外科の要点と盲点.文光堂.307-313,2006


経歴 : 町田治郎
1982年 横浜市立大学 卒業
1990年 同大学大学院 修了 医学博士
1992年 横浜市立大学整形外科 助手
1999年 横浜市立大学整形外科 講師
2001年 神奈川県立こども医療センター 整形外科部長 現在に至る。

役職 : 日本小児整形外科学会評議員、日本足の外科学会評議員
専門分野:足、股関節、骨・軟部腫瘍

町田英一会長の実弟です。


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