Dr町田_2014年7月_第27回日本臨床整形外科学会_仙台市_抄録
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  足と靴の医学 / 整形外科医師 : 町田英一  

2014年7月20日 第27回日本臨床整形外科学会_仙台市_抄録

 

陥入爪、巻き爪に対するマチワイヤMDを用いた5年間以上の gradual correction



町田 英一 (まちだ えいいち)

高田馬場病院整形外科 (Takadanobaba hospital)



<目的>難治の陥入爪は巻き爪による形態の異常が原因となり発生する事が多い。マチワイヤMD( medical device  多摩メディカル社)は演者が1996年に開発した爪矯正用の医療機器で、形状記憶合金、超弾性合金ワイヤを爪に2ヵ所の穴を開けて通す。 Gradual correctionは緩徐な矯正を意味する。マチワイヤを使用した爪矯正の注意点を調べた。

<対象と方法>1996年から2014年までに陥入爪巻き爪、9千例のうち、5年間以上通院している62例、 男性8例、女性54例。全例が母趾であるが、第2-5足趾 15例、手指4例 である。基礎疾患は外反母趾42例、扁平足5例、爪下外骨腫4例である。マチワイヤは1-2ヵ月毎に入れ替え、連続して施行したのが24例、3ヵ月から1年間、休止したのが38例である。

<結果> 全例疼痛が改善、消失したが巻き爪、炎症の再発は2ヵ月から1年間で発生していた。 最も多いトラブルはマチワイヤが短期に外れる事で、原因は1. 爪が割れる 2. マチワイヤが折れる、3. マチワイヤが穴から抜ける事である。形状記憶合金の欠点は折れ易い事であるが、マチワイヤは材質の改良により、適切に用いれば折れる確率が千例に1例くらいと少なくなった。

<考察>
多くの研究者により巻き爪の治療はマチワイヤMD による爪矯正が第1選択とされている。 マチワイヤの長所は適度な矯正力が長期間に渡り持続する事が出来る。短時間の矯正では爪が軟部組織から剥がれたり、爪が割れる事が多い。現在、爪矯正は健康保険の適用では無く、自費診療で行われている。

<結論>巻き爪は形成外科や皮膚科でも取り扱うが、外反母趾、扁平足、末節骨の爪下外骨腫に併発する事が多く、患者が受け入れてくれれば、マチワイヤによる長期の爪矯正 gradual correctionが勧められる。


dr-machida.com 2014年3月14日更新